先日、藤沢市にある遊行寺でお茶会が開かれた。私は普段、先生と1対1でお茶のお稽古をしている。先生は、人数が多くないとできないお点前の種類もあるからと言って、お茶会や他の先生のお稽古場に連れて行ってくれることが多い。ありがたい。
遊行寺のお茶会では、初めて裏方(水屋)も体験した。
部屋には約30名のお客様が入るので、30人分のお茶を点てなければならない。亭主が1杯1杯点てていたら時間がないので、最初の2人以外は、裏で点てたお茶を出すのだ。
お客様が揃うと、亭主のお点前が始まる。
頃合いを見計らって、裏方はお客様にお菓子を出す。お菓子が入った器を下げて、今度はお茶を出す。
どんどん点てて、どんどん出す。水屋は戦場だ。
水屋を一緒に担当したのは、先生が昔一緒にお茶をされていた方々。薬剤師さんが多かった。
「仕事は忙しいんだけど、お茶の時間は仕事のことも忘れられるから」
そう言って、忙しいなかでもお茶は長いこと続けているのだと教えてくれた。
仕事とは別に、長く続けられることがあるって良いな。
私も、お茶はずっと続けたいなと思った。
ただ、薬剤師さんはずっとお茶室にいるお客様のことを「患者さん」と呼んでいた。
「次の患者さんは何人?」
「もう患者さん、全員席入りした?」
「どの患者さんまでお菓子を運んだ?」
そして、お茶会が終わり、片付けも終え、いざ帰るとき。
お別れの言葉は、もちろん「お大事に」。
きっと職業病なのだろう。お茶の時間も、仕事のことを全然忘れられてないのが、なんだかとても可愛らしかった。