下りのケーブルカー車内は、蒸し暑かった。それは私がとんでもない勘違いで山を走り回ったからではなく、そこにいる誰もが同じように暑さを感じていたと思う。
私はリュックから扇子を取り出し、パタパタと扇ぎ始めたのだが、前に座るおじさんも暑そう。
ここはひとつ、おじさんにも風を送り込んでやるか! と、扇子を左手に持ちかえ、2倍の力で扇いでみた。
するとおじさん、「あれ? 魔法?」みたいな感じで喜んでくれたので(あくまで想像)、約6分間、終点まで左手を動かし続けたのだ。
もちろん、おじさんは私が意図して風を送り込んだとは気づくまい。私は勝手に良いことをした気分になり、バス停までの階段をヒョイヒョイッと下っていった。
階段の途中には、ワイワイおばさま方が吸い込まれていった茶屋や軽食屋が並んでいる。
お腹がすいたので蕎麦屋に入った。大山は、豆腐が有名らしい。メニューを渡されるやいなや、店員さんから「うちは、味噌豆腐がダントツ人気です」と言われたので、それを注文。
絶品だった。
ゆっくり過ごしたが、まだ13:30。
大山フリーパスは、指定区間内は乗り降り自由なので、隣の「鶴巻温泉駅」へ行こう。
ということで、駅から徒歩5分の「つるまき千の湯」へ行って、ひとっぷろ浴びてきました。
ちゃんと、コーヒー牛乳も瓶でグビッとやってきました。
いろいろ思いどおりにはいかなかったけど、満足。
今になって、左腕が痛む。注射を2本打ったからか。あるいは、おじさんを涼ませたい一心で6分間も腕を振り続けたからか。
どちらの痛みかわからない。
長針と短針もわからない。
何もわからない。
寝よう。