先日、妹ふたりと一緒に息子を連れてバイオパーク(動物園)へ行った。
妹が勤める会社の福利厚生で、本人は無料に、同伴者は半額になるという。本来はひとり1,700円のところ、3人(+乳児)で1,700円なのだから行くしかない。
到着すると、入り口の手前にアルパカが座っているのが見えた。そういえば、いつだったか夫と来たなと思い出す。
受付で1,700円を払い、ベビーカーが200円で借りられると教えてもらった。これはラッキーと思ったが、実物を見てみると、想像していたベビーカーではなく、どちらかというと工事現場で使われているネコに近い。
自前のベビーカーを持ってきていない私たちは、それを使うほかないので、息子をそれにヒョイッと乗せ、しばらくガタゴトいわせながら歩いたが、どうにも居心地が悪そうなので、結局抱っこした。
私は息子にキリンを見せたかった。義理の父に買ってもらったキリンのおもちゃを息子は毎日しゃぶっている。「これが本物だよ」と見せたら喜ぶのではと思った。
最初に息子が食いついたのは、ミーアキャットだった。それまでは一切動物に興味を示さなかったのに、幼稚園生くらいのお兄ちゃんやお姉ちゃんが餌をあげるのをじっと見て、それから両手を上げて待つミーアキャットもじっと見ていた。
そんなに好きなのか。それなら、餌を買ってみようかと思ったが、ミーアキャットの餌が小さい虫なのを見て、やっぱりやめた。小さいとはいえ、虫はあまり好きではない。
好きではないと言えば、さっき見たフラミンゴも正直少し怖かった。
私は鳥がどうにも苦手で、フラミンゴがわんさかいる柵の中になんて入りたくなかったのだ。
そういえば、5年くらい前のこと。出張で博多に行ったとき、上司と並んで歩きながら話していたのだが、博多駅前の鳩の群れがあまりに怖かったので勝手に迂回したところ、上司を見失いかけたことがある。
私が消えたことに気付かず、そのまま話し続けた上司は、はるか遠くに私を見つけると、もう一回話さないといけないだの、鳩ごときでどうだのこうだの言っていたが、私の気持ちは分かるまい。それほど鳥が怖いのだ。
鳥嫌いは確実に母の影響で、幼い頃、母は私に「鳥の首元が怖い」「鳥の足が怖い」「鳥のくちばしが怖い」と言い、私もそのまま怖いと思うようになった。
同じ境遇の妹たちが、「子どもは親に影響されるものだから、嫌いや怖いを押し付けるのは良くない」というので、最大限フラットな気持ちでフラミンゴの群れをかき分けた次第。誰か私を褒めてほしい。
息子がもう少し大きくなって、自らミーアキャットに餌をあげたいと言ったときには、笑顔で虫が入ったカプセルを開けてあげる、そんな母親になりたいものだ。
ちなみに、1番見せたかったキリンの前で、息子は爆睡していた。
全てを見終わり、すっかり荷物置きになっていたベビーカーを返却する。妹は「200円でわざわざ不便を買ったよね」と言いながら、ようやく手放せることを喜んでいた。
園内でぐっすり寝た息子は、帰りの車で大泣き。途中、ローソンに寄ってお湯を使わせてもらい、ミルクを作って飲ませた。
遠出は大変。大変だけど、楽しかった。