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『李王家の縁談』を読んだ感想

林真理子が好きな友人がいるので、林真理子を見ると、その友人のことを思い出す。

そうは言いつつ、最後に林真理子を読んだのはいつだったかも思い出せない。そのくらい長いこと離れていたが、ポッドキャストだったかインスタグラムだったかで、『李王家の縁談』が面白いというので早速読んでみた。

昨年末の帰省でKindleをゲットしてからというもの、本を読むのが随分と楽になった。2023年も始まったばかりだが、今年買ってよかったものランキングベスト3に入るだろう。海外に住むなら、Kindle必須。

 

李王家の縁談、面白くなるまでに少し時間がかかる。というのも、皇族や伯爵やそういった人たちの名前が、全然馴染みがないので頭に入ってこない。それで「李王家の縁談 相関図」とググったら、同じことを思った人がちゃんと家系図をつくってくれていて、それを見たらあっという間に面白くなった。

調べたら、「歴史家もイチオシ」だとか「史実に充実」だとか書いてあり、決して架空のことばかりではなく、現実とリンクしているのだと思うと、より話に入り込むことができた。

 

全く馴染みがないと言ったが、私は皇室・王室という、いわゆるロイヤルファミリーが好きなので、たまに「ああ、あの方か」と、ちゃんとリンクする人が出てくる。主人公の梨本宮伊都子さまも、家系図で見ると、今の上皇陛下や天皇陛下と思ったよりも遠くはない。

 

その証拠に(?)、小説の最後には現・上皇后陛下である美智子さまも登場する。そんな昔でない話なのに、知らないことがたくさんあるのだなと思った。

 

まず、伊都子さまの長女である方子王女が、朝鮮の李王世子と結婚したとは知らなかった。それまでは、皇族は日本の皇族や華族以外と結婚してはいけないという決まりがあったことも知らなかった。

 

面白かったのは、伊都子さまが「結婚相手を選ぶのが女の楽しみ」といって、精を出していたこと。方子さまをはじめ、次から次に、自分が面倒を見てやらねばと世話をする。ここぞという力の出しどころが、結婚相手を選ぶこと、しかも彼女たちがいかに豊かな暮らしを送れるか、身分が釣り合うかなどを考慮しなければならないので、年頃の相手を見つけるのは簡単ではない。やんごとなきお方は、結婚相手を選ぶのも(いや、それこそが)大変らしい。

 

さらに面白かったのは、朝鮮の李王世子と結婚した方子さまが、次第に朝鮮に嫁いだという自覚をもっていくところ。当初、方子様は外国の王世子との結婚に不安で涙を流したが、伊都子さまは、王世子は若い頃から日本に暮らしているから語学は問題がないし、朝鮮は日本と併合したので、暮らしは何も変わらないのだと慰めた。

 

それなのに、結婚すると、朝鮮の家に嫁いだという自覚、息子である玖は時期に王を継ぐのだという自覚をもち、自ら心は朝鮮の王家へと移っていったところが面白かった。

 

おそらくは、この小説は林真理子好きの友人の好みではないだろうと思う。

じゃあどういうのが好きなのかというと、それがわかるほど林真理子を知っているわけではないので、他の作品も読んでみようと思った。