長崎では、8月15日に「精霊流し」をする。初盆の家は爆竹をならしながら船を曳き、町中を練り歩くのだ。
働き始めた年の5月、おじいちゃんが亡くなった。お酒を飲んで暴れる人だったから、天国にいったかは分からない。
若い時のおじいちゃんはやりたい放題だったから、あまり好きになれなかった。けれど、年をとって頰がたるんでくると、なんだかチワワに見えてきた。辛い思い出もあるけど、おじいちゃんがチワワに見えた日から、私はおじいちゃんをなんとなく許すことができた。
おじいちゃんは若い時、とてもかっこよかった。今でもおばあちゃんは、若い時のおじいちゃんの写真を大事にしていて「イケメン」と言っている。隣に写る白無垢のおばあちゃんは、小梅太夫にそっくりだ。
おじいちゃんの精霊流しには、いろんな人が来てくれた。ちょうどトルコから来ていたアイシェも、一緒に船を曳いてくれた。
ちゃんこん、ちゃんこん、どーいどい
謎の掛け声で曳いていく。大量の爆竹を渡され、この日ばかりはいくらならしても怒られない。変な形の船に、大量の爆竹。
アイシェは fantastic!だと喜んだ。
手伝ってくれてありがとう、というと「来年も参加したい!」と笑顔で言うアイシェ。
親族の健康を願ってやまない。