今日のこと。

ほとんど今日のことではありません。

はじめての彼氏のこと

大学1年生の夏だっただろうか。初めて付き合った人から、突然メールがきた。彼は同じ中学で、同じ塾に通い、別の高校に進学した。中学卒業後に付き合いはじめ、高校1年生の途中で別れたと記憶している。

 

久しぶりだったので何かと思えば、高校で使っていた学生カバンを譲ってくれないかということだった。聞くと、通っている教習所の先生の娘さんが、今度学校でカバンチェックを受けるらしい。しかし、娘さんのカバンはぺたんこに潰してあるので、検査に通らないだろう。それでは困るので、潰していないカバンが必要とのこと。

 

私はクローゼットから学生カバンを取り出した。高校3年間、ほとんど毎日使っていたのに、新品同様にきれいなまま。このカバンに思い出はない。悲しいけれど、全くない。譲ろう。というわけで、元彼の教習所の先生の娘、という一切接点のないお嬢さんにお譲りしたのです。

 

私のカバン、本当にきれいだったのよ。真面目な学生だったので潰していなかったから。彼は、「潰れていないカバン」と言われて、私を思い出したのでしょうね。なんとも言えない気持ち。

 

時は経ち、大学2年の夏。

そろそろ免許をとろうと思ったところで、カバンの先生の教習所を思い出した。そこは自動車学校とは違い、先生は運転の仕方を教えてはくれるものの、試験は運転免許試験場で受けなければならないとのこと。しかし、金額は自動車学校に通う半分ほどで済むというので、再び元彼に連絡し、先生を紹介してもらいました。

 

そこから私は、カバンの先生のもとで運転を学び、仮免に3回落ち、本免は2回落ちた。なんと、学科も1回落ちた。運転免許試験場でのテストは、隣に警察官が乗るので緊張するのよね。学科の授業もないので、本を買って自分で勉強しなければなりません。

 

「仮免に3回落ちた」というと、自動車学校に通っていた友人にとても驚かれる。「落ちたので、駅のホームで泣いた」なんて言っても、誰も共感なんかしてくれない。だけど、運転免許試験場でのテストというのは、だいたい何度か落ちるものなのです。

 

なので、ようやく合格した時には、これまた泣いて喜びました。もう朝早くから並んで試験料を払わなくて良いんだという安堵だったのかもしれない。

 

先生からは、「合格おめでとう。そして、カバンをありがとう」と、お礼にキーホルダーを頂きました。

 

元彼ですが、お互い若く、初めての彼氏で恥ずかしかったこともあり、付き合っている期間中、一度しかデートをしてない。JRに乗って、映画を見に行ったっけ。だから、別れた後の方が、結局多く会っていた。多くと言っても、カバンを渡した時と、同窓会の2回。でも、「2回」は「1回」より多いでしょう。