今まで何人の中国人に会っただろう。
覚えている限り、最初に友達になった中国人は、アルバイト先のレストランで一緒に働いた女の子2人組だ。
大学1年生で始めたアルバイト。家庭教師に次ぐ、2つ目のアルバイト。筋肉ムキムキのオーナーがいるイタリアンレストラン。「さあ、こい!」と手のひらを見せるので、ミットに打ち込むように思いきりパンチしなければいけない、イタリアンレストラン。中国人のリンちゃんは、オーナーがいつものように両手を向けると、可愛らしくハイタッチした。かわいすぎるよ……
その次に出会ったのは、カナダ。チャイニーズレストランで働いていたので、短期間で一気に中国人ネットワークが広がった。
レストランはホールとキッチンに分かれていて、キッチンで働く中国人は英語を一切話さなかった。「Thank you」と言っても、「不要謝(どういたしまして)」と返ってくる。徹底的に、英語を話さない。
一緒に働いていた春奈さんは、この「不要謝(ぶーようしぇ)」を「Bullshit(めちゃめちゃ汚いスラング)」と聞き間違えておびえていた。春奈さん、かわいすぎるよ……
中国人たちと働き始めて1ヶ月が経ったころ、キッチンのメンバーが私をカラオケに誘ってくれた。どこの国にもチャイナタウンはあるもので、そこにあるKaraokeに行けばなんとなく日本に戻ったような気がした。
Kiroroの「未来へ」や大事MANブラザーズバンドの「それが大事」は、中国でも人気らしい。「歌って!」と言われるのでマイクを握る。曲が流れ、画面に出てきたテロップは、中国語だった。中国語では歌えない。静かにマイクを置き、着席。すかさず料理長がマイクを握ったので、得意の合いの手で参加した。(私は、どんな歌でも絶妙な合いの手を入れられるという特技がある)
このカラオケ、私の歓迎会ということだったが、知らない女の子が座っていた。誰。
隣に座っていたMandyに聞くと、キッチンで働く男の子の彼女だという。その彼女は、レストランでは働いていない。働いていないのに、くる。そして、マイクを握る。次の曲、まさかの彼女が歌った。
考えてみてほしい。付き合っている彼氏の職場の歓迎会に参加し、カラオケに行き、上司や同僚の前で歌うだろうか。びっくり。びっくりしすぎて、笑いがこみあげてきた。これが、カナダでうけた最初のカルチャーショックだ。
ちなみに、キッチンで徹底的に中国語しか話さないスタッフとはコミュニケーションがとれないので、筆談をつかっていた。漢字ってすばらしい。
うん。中国人、結構好きだ。