二十歳のとき、カナダ人の友達に「あなたのマイブームは何?」と聞いたら、「マイブームって何?」と言われた。「マイブーム」が英語ではないことを知ったのは、このときである。
調べると、みうらじゅんさんの造語らしい。
友達に日本語での意味を説明すると、音の響きを気に入ったらしく、「マイブーム」は彼らのなかでささやかに流行った。小さな「マイブーム」ブームである。
少し前のこと。元TBSアナウンサーの堀井美香さんがパーソナリティを務める「WEDNESDAY HOLIDAY」というPodcastに、みうらじゅんがゲストとして出演していた。
みうらじゅん、これまであまり知らなかったが、めちゃくちゃおもしろいではないか!
そして先日、ふと、また聴きたくなって、2回目のみうらじゅん回を聞いていたら、やっぱりおもしろい。もっと欲しい! そして私は、みうらじゅんの『マイ仏教』という本を買った。
その本によると、みうらじゅんは小さい頃に祖父の影響で仏教に興味をもつようになったらしい。小さい頃には仏様などの写真を貼ったスクラップブックを作っていた。写真に添えられた一言コメントが、なんとも良い。
それで思い出したのだが、私も小学生の時に、1冊のA4ノートを持っていた。それには日々感じたことや思い出を書いて、特に何かに特化していたわけではないものの、一応はスクラップブックと言えたのではないだろうか。
例えば、祖母に温泉に連れて行ってもらった時には、コインロッカーの鍵をノートに描き写し、ファンタの期間限定味が出た時には、パッケージを貼って「初めての味♪ おいしい!」というような、ありきたりな感想を一言添えた。
後にそのノートは母親に勝手に読まれたのだが、読まれてまずいことは書いていなかったので、少しばかり恥ずかしかったが、特に喧嘩になることもなかったと記憶している。薄っぺらい思い出ノートとして、いつのまにか処分してしまった。
こういう類のノートを全て残していたら、今頃懐かしく読み返しただろうか。中学生のときに流行った「プリ帳」という、プリクラを並べて貼ったノートもほとんど捨ててしまった。あれには自作の詩なんかも書いていたので、今読めば笑い転げたかもしれない。
そういうものは、2年や5年くらい経っただけでは、まだまだ恥ずかしいものとして捨てたくなるが、その恥ずかしさを乗り越えて15年や20年と経てば、味わい深い思い出になるのだろう。
私はその恥ずかしい期間を乗り越えられず、数々の名作(!)を燃やしてしまった。嗚呼、今残っていれば、笑いのひとつやふたつを生んだだろうに。
みうらじゅん曰く、「変わったものは、数多く見ると、慣れてくる。慣れた先に、クセになる」らしい。これは名言。私の詩もクセになる時を待つべきだった。
というわけで、最近のマイブームはみうらじゅんである。
▼騙されたと思って聴いてほしい「WEDNESDAY HOLIDAY」みうらじゅん回
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