今日のこと。

ほとんど今日のことではありません。

力の限り調べてみた

THE WAY 10月号で、海外ノマドのフリーライター、西村望美さんを取り上げた。

 

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国内ノマドでさえ住民税は? 確定申告は? と調べることがいっぱいあるのに、海外ともなれば、ビザも調べなきゃ、税金も調べなきゃ、怪我した時の保険は? などと、考えることがいっぱい。

 

しかも、国によって本当にルールや制度が違うことがよーーーーくわかった。

ということで、望美さんの事例に加え、タイの場合を調べたので現時点で把握していることを自分の記録として書いておく。(自分のために書くけど、一応その周辺知識も調べたものは書いておきます)

 

ビザ問題

1. ノービザ(最大60日)

日本のパスポートを持っていれば、特にビザがなくてもタイに1ヶ月(30日)滞在することができる。この滞在中、申請料1,900バーツ(約6,400円)を支払うことによって、タイ国内からさらに30日のビザ延長申請ができる。(1回の入国につき、1回の延長が可能)

2. 観光ビザ(最大90日)

入国時に最大60日の滞在が許可される。ビザ申請料は、4,500円。ビザの有効期限は、ビザ発行から2ヶ月間。こちらも入国後、1,900バーツの申請料を支払って申請すれば、1回に限りタイ入国管理局で30日の滞在期間延長が可能。

 

タイに住む多くのフリーランスや旅行者は、この1と2を繰り返しながら長期滞在しているというのが実態。滞在可能な期限が迫った頃、近隣諸国へ一度出国し、再度入国する。このように長期滞在するために入出国を行うことを「ビザラン」と言うが、2014年にはこれを防ぐための規制法ができ、隣国との入出国が4回(入国は2回)までという制限が設けられた。

タイ語学校に通っていた頃、よく台湾人のクラスメイトがビザランのためにラオスに行くと言って授業を欠席していた。彼は何度も繰り返していたから目をつけられてもおかしくなかっただろうけど、なんだかんだ長いこと滞在していた。最終的に、一緒に暮らしていた兄と喧嘩して台湾に帰っていった(なんじゃそりゃ)。

ちなみに、タイでは就労するにもボランティアするにも「就労ビザ」が必要。観光ビザでは就労できないので、フリーランスの場合、タイ国内でバーツを稼ぐことはできない。料理やヨガ、着付け、茶道などの教室を開いていたり、アクセサリーや雑貨を作って売ったりしている人がいるが、ちゃんと就労ビザをとっている人は少ないと思う。

3. 就労ビザ

タイの企業に就職する場合もしくは起業する場合に取得。実際のところ、フリーランスが法律を守って働こうとすると、自分がタイで会社をおこしてそこで自分の就労ビザをとるというのが正式な手続きらしい。ただ、かなり手続きが面倒なうえにかなりお金がかかるので、そういう人はほとんどいないと思う。タイにある企業に就職する場合は、会社が手続きしてくれることが多い。

4. 留学ビザ

入国時の滞在許可日数は、最大90日。申請はタイ国外からでないとできないので、まずはノービザでタイに入国し、語学学校を見つけ、入学手続きをし、その後一度国外に出てビザを申請し、再入国という流れが一般的らしい(面倒くさすぎてびっくり)。語学学校であれば3ヶ月毎の更新、大学であれば1年毎の更新で、学ぶ期間の滞在が可能。ノービザや観光ビザに比べると、半年以上滞在するハードルは下がるが、学費の支払いと通学時間が必要。長期滞在目的の就学でないか、チェックもあるとのこと。 

そのほか、タイ人の配偶者が取得できるビザやタイで正規就労する人の配偶者ビザ(駐在員の妻たちがこれで、私もこれ)、50歳以上で経済的余裕がある人が取得できる(通称)リタイアメントビザ、1,000万バーツ以上投資している人が取得できる投資家ビザ、謎のエリートビザなどもあり、わりと経済的に余裕がある人はビザの選択肢も幅広いよう(最初から選択肢にないけど)。

また、タイに限らず、ノマドとして世界を渡り歩いている人は、観光ビザ+現地で延長を1つの区切りとして、その期間ごとに移動する人もいるよう。しかし、コロナの影響で自由に行き来ができない今は大変だろう。タイでは、3月26日以降にビザが失効した在タイ外国人の滞在許可期間の自動延長という特別措置がなされてきた。けれど、それも現時点では10月末までという期限つき。

タイとは関係ないが、望美さんが次にとりたいと言っていたのは、オランダの「個人事業主ビザ」や「起業家ビザ」と言われるビザ。取得するために諸々70万くらいかかるらしいが、申請した初年度は2年滞在可能ということなので、数ヶ月毎の移動に飽きや不安を感じたら選択肢に入れていいかもしれない。

また、ジョージア共和国はパスポートの残りの日数などの条件をクリアすれば、1年間ビザなしで滞在が可能とのこと。観光ビザひとつとっても、国によって滞在期間が異なるので、90日より長く滞在できる国もある。

30歳以下であれば、ワーキングホリデービザがなんだかんだ1番いい。ワーホリビザは最高。(ただ、タイと日本はワーホリ協定なし)

 

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税金問題

1. 住民税(日本)

海外に住む期間(日本にいない期間)によって、住民票を日本から抜くという選択ができる。住民票が日本にあるかないかの判断は、毎年1月1日時点で判断される。1月1日時点で住民票が日本にない場合、その年分から住民税は支払い不要(翌年6月から住民税の支払いは0)。ただし、住民税は前年度の所得にかかる税金なので、5月頃に郵送で届く当年6月から翌年5月に支払うべき納付書に書かれた金額は納めなければいけない。その期間日本にいないという場合は、家族や友人を納税管理人に指定し、納税を代行してもらうことができる(私は実家の父を指定しました。前年度所得がパート収入で少なかったので、出国前に特別徴収に切り替えて一括で支払いを完了。父親の出番はないはず。もし何かあっても、どうにかしてくれるだろう。ははは)

2. 所得税(日本・タイ)

タイに引っ越す前、藤沢税務署に相談へ行ったところ、「住民票が日本にないなら税金を日本に納める義務はないので、滞在国の税法にしたがって現地で納めてください」と言われた。かなりの質問を用意して臨んだにもかかわらず、これ以上聞くことがなくなり、「本当ですか?」を2回くらい繰り返し、質問時間5分で退散となった。

一方、タイでは、暦年の総滞在期間が180日以下であり、給与などの支払いが日本などの外国法人であるなどの要件を満たす場合、たとえ就労場所がタイであっても免税規定に該当するので課税対象ではないという情報を発見(つまり、タイに滞在する期間が半年以下で、日本のクライアントから日本の口座に報酬が振り込まれる場合などは課税されないということだろう)。先に書いたようにビザランしている人のほとんどは180日も滞在しないので、課税対象に当てはまらない人も多いよう。実際のところ、どうなんだろう。現地で就労ビザをもたないフリーランスが課税対象に該当するとして、日本の口座に報酬が振り込まれたところでタイはその金額をどうやって把握するのかなという疑問。

講演料や執筆料などは、支払い金額が100万円以下であれば10.21%(100万を超えると20.42%)が源泉徴収されるが、日本から住民票を抜いた非居住者については源泉徴収は必要ないとされている。ただし、デザイナー、ライター、翻訳家などに支払う報酬は著作権使用料として源泉徴収される場合あり。「解釈はケースバイケースですが、念のために源泉しておきましょう!」と(企業向けに)書いてあるウェブサイトがあった。非居住者に支払う使用料の源泉徴収は、税率20.42%(復興特別所得税込)らしい。これは支払額に関係なく、100万円以下であっても20.42%なのだろうか。だとしたら、要注意事項。

そのほか、源泉徴収が必要ない事例も細かく規定されているので、とりあえず先方の言うとおり作成している。私は今年、なんだかんだ帰国して、住民票を日本に戻す予定なので、全体的に日本にいたときと変わらない手続きになりそう。

そして、さらに細かく言うと、日本とタイは租税条約を結んでいるから、よくよく調べると何かしらあるらしい(さすがに条約は読まなかった)。

 

税金については、本当に税理士や会計士に相談したい。住民票を抜くといってやってきたけど、やっぱり年内に戻すわけだから、もう1度住民票ありバージョンのケースを聞きに税務署に行こうと思う。(聞いたら追記します)

タイの税法に詳しい日本人税理士にも相談したくて調べたけど、だいたいは法人がターゲットだから、個人の相談窓口は設けていない。もしくは、設けていたとしてもその窓口を見つけられない。

こういう専門的な情報ってどこで入手すればいいんだろうか……。

 

そのほか、国内のフリーランスであれば事業税と消費税の支払い義務があるが、海外ではどうでしょう。必要であれば納めてください(次回以降の宿題として、今回は投げやり)。

 

結論:タイでフリーランスとして働く人は、日本に住民票がある人は日本で納税する(詳細は帰国後に税務署で確認予定)。

住民票を抜いた場合、住民税、所得税の支払い、源泉徴収、確定申告は不要。ただし、住民税の支払い時期は1年ずれるので注意。また、源泉徴収は著作権使用料に関しては徴収の可能性あり。タイに対しては、滞在期間や報酬が発生した場所に応じて納税義務が発生する。

 

社会保険問題

日本の社会保険は、大きく分けて「労働保険」と「(狭義の)社会保険」に分かれている。労働保険は、労災保険と雇用保険。社会保険は、医療保険と年金保険。会社に勤めている人は、会社の担当者が手続きをしてくれるとして、フリーランスは自分で選択しなければいけない。

1. 労災保険

加入の義務なし。労災保険は、事業主が全額払っている。(フリーランスは雇用されていないので、労災関係なし)

会社が支払う法定福利費を見たことがあるけど、かなりのボリュームだった。人を雇うって、給料や賞与だけじゃなくて、本当にお金がかかる。福利厚生のお菓子やコーヒーだってどんどんなくなるし。

2. 雇用保険

日本の事業主のもとで継続して働かない限り、雇用保険の加入は継続されない。失業保険や再就職手当などの受給に関しては、受給要件として「4週に1度ハローワークで失業の認定を受ける」必要があるため、毎月帰国しない限りは受給できないので実質不可能。海外で再就職しても、再就職手当はもらえない。

私も藤沢に引っ越したときに失業保険と再就職手当の給付を受けたことがあるが、「この日の何時に来てください」とかなりピンポイントで指定された。「一時帰国に合わせてその日にハローワークへ行こう!」とか、そういう融通はきかない。

ただ、受給期間は通常1年なので、その期間内に帰国して就職活動を始めたら受給できるのかも。さらに、海外へ行く理由が配偶者の海外赴任に伴う同行であれば、受給期間を3年にまで延長できる特例がある(受給金額が増えるわけではない)。

私の場合、夫の海外赴任に伴う同行なので受給期間の延長はできたのだが、赴任期間の予定が約5年だったこともあり、受給権の放棄を行った(書類は夫の会社が用意してくれた)。

いろいろ書いたけど、雇用保険は雇用される従業員のための保険という位置付けなので、事業主とみなされるフリーランスは、基本的には雇用保険に加入することはできないらしい。

3. 医療保険(健康保険)

フリーランスだと国民健康保険に加入していると思うが、住民票を抜いたら、自分で民間の医療保険に入らなければいけない。もちろん入らなくてもいいんだろうけど、もしもの場合に備えて絶対に入った方がいい。最初に紹介した記事内で、望美さんはノルウェーの保険会社が出しているノマド向けの保険に加入しているとのこと。その商品は、アメリカのみ追加料金が必要だが、それ以外の国は日本も含めてカバーされるので、世界中を動き回れるらしい。便利で安心。その保険会社名は記事に書いています。

保険は医療保険に限らずいろいろあるので、調べてみてください。

4.社会保険

フリーランスの場合、20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入していると思うが、住民票を抜いたら加入の義務はない。ただし、任意で加入を継続することはできる。任意加入のメリットは、将来の年金額に反映されること。でも、いろいろな人のブログを読んでいたら、「将来の年金に期待できないから任意加入はしませんでした」という人も多かった。任意加入で支払うお金を資産形成にまわす方がいいという考えらしい。

投資でいうと、住民票を抜いたら日本でやっていた積立投資信託の新規積立はできなくなった(それまでの積立分を保有することは可能)。年末に日本に帰国して住民票を戻したら、投資にも力を入れたい。

 

ということで、これが自分の経験や税務署での質問や本、ネットで調べた現時点での結果。もちろん解釈間違いや理解不足、誤解、法改正もあるだろうから、ご自身でもお調べください。それに、「フリーランス」という言葉を使ってきたけど、例えば開業して個人事業主になっていたらまた手続きが違うかもしれないし、そのあたり、調べたり聞いたり経験したりしたら追記します。

 

 

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