先日、新しく藤沢駅前にできた市民図書館をウロウロしていたところ、『翻訳できない世界のことば』という心温まる本を見つけた。
著者は、イギリス在住のイラストレーター、エラ・フランシス・サンダースさん。
同い年くらいかな?
彼女が大学生のときに書いた記事が、瞬く間に世界中に広がり書籍化されたそう。
日本では2016年に販売が開始され、5ヶ月で10万部を売り上げたらしい。2016年といえば、私は社会人3年目に突入した年。これほどのベストセラーを読まず、何をしていたのだろう……(多分、同期と一緒にあれこれ理由をつけて上司を誘い、その上司のお金で飲んでいた)
エラが書いた当時の記事がこちら。
日本語からは、「木漏れ日」が紹介されています!
本では、他の言語では翻訳できない世界中の言葉が、著者のイラストと共に紹介されている。
たとえば、こんな感じ。
アラビア語:SAMAR(サマル)
意味:日がくれた後遅くまで夜更かしして、友達と楽しく過ごすこと。
イタリア語:COMMUOVERE(コンムオーベレ)
意味:涙ぐむような物語にふれたとき、感動して、胸が熱くなる。
他にも、本の中身が一部公開されているので、ぜひご覧ください。
イラストが、かわいいよ!
私が1番好きなことばは、ウルドゥー語の「NAZ(ナーズ)」。
意味は、「誰かに無条件に愛されることによって生まれてくる、自信と心の安定」。
ちょっとくさい言葉だけど、とても心が温まるので大好きです。
そういえば、先日大学の友人2人と上野でご飯を食べたのだけど、そのうち1人は日本語学校の教師をしていて、日本語を教える難しさについて教えてくれた。彼女は日本語を日本語で教えており(直接法という)、絵や写真、ジェスチャーをつかって説明するらしい。難しいのだが、英語や他の言語で教えるよりも、日本語の微妙なニュアンスを理解してもらえるんだとか。
彼女は、私と同じ長崎の大学に通っていたけど、当時から日本語教師の免許を取得するべく、福岡の学校にもダブルスクールで通っていた。見た目はチャラチャラしているけど(!)、今も昔も根は真面目なのだ。
そんな彼女の活躍ぶりは、こちら。
めちゃくちゃかっこよく書いてあるので、とうとう真衣もあっちの世界にいってしまったのかと思ったが、会ってみると、相変わらずぶっ飛んでいたので安心。
ちなみに、この『翻訳できない世界のことば』には、「木漏れ日」含め、4つの日本語が紹介されている。一時期流行った「MOTTAINAI」が載っているだろうと思ったけど、予想は的中せず。代わりに、「え! それ!!???」という言葉が載っていた。ぜひ、本を読んで確認してほしい。
この本には、感じたことのない気持ちや状況がいくつも紹介されている。「感じたことのない」というのはきっと嘘で、その気持ちや状況を表す日本語がないから、その感情自体がないものになっているんだな、と改めて感じた。
言葉って、おもしろい。
この話をすると、以前見たテレビ番組で、街頭インタビューに答える外国人が「蒸し暑い」という日本語を褒め称えていたことを思い出す。ただの「暑い」では伝わらない「蒸し暑さ」。この表現を知って、感動したと言っていた。
それからもう1つ思い出すのは、虹の色。ラジオで聞いたのだが、「虹は何色か」は国によって違うらしい。日本では7色がスタンダードな答えだが、これは韓国やオランダと並び、世界でもっとも多い。アメリカでは虹は6色だし、モンゴルでは3色と言われているそうだ。
グラデーションで色が変わる虹の色をどこで区切るか、という違いによるもので、色の表現が多いほど虹の色も多くなるという見解がラジオで述べられていた。
虹の色を教えてもらう前の子どもたちであれば、世界中で色の多さが国ごとに分かれることはないのかも。
ちなみに私は虹の色を歌で覚えた。
その歌詞は
赤 橙 黄色 緑 青 藍 紫 ♪
輝く虹の橋 行こうよ 行こうよ♪
というものなのだが、その歌のタイトルがどうしても思い出せない。
(ググったら、同じ質問をしている人がいた!)
けれど「7色のプレゼント」ではないのです……結局答えは分からぬまま。小さいときに歌っていた歌って、結構覚えているものなのね。
歌いながら虹の7色を言う私を、夫は「すごいね」と褒めてくれる。
その夫(山口県出身)は、金子みすゞの詩を歌にのせて暗唱していたので、そっちの方がもっとすごいと思う。金子みすゞは山口の人なので、小学校では皆そうして暗唱するらしい。
朝焼け小焼だ 大漁だ♪
そうそう。結婚して2年が経った。
結婚記念日を山の日(8月11日)にしたのだけど、来年の山の日は8月12日になるらしい。いよいよ覚えられなくなる。
夫婦の愛は無条件ではない(と思う)のでNAZ(ナーズ)というと傲慢だけど、心の安定は得られている、かな。
良い本でした。