今日のこと。

ほとんど今日のことではありません。

小田急に乗るときのマイルール

藤沢に引っ越して、もうすぐ1年が経つ。神奈川県藤沢市は、江ノ島が有名な湘南エリアだ。長崎にいた頃、「湘南」は町や市の名前だと思っていた。どこからどこまでが湘南か、見解は人それぞれらしい。

 

小田急江ノ島線の「鵠沼海岸駅」が職場の最寄駅。ベンチに座って電車を待っていると、露出度が高いおじさんが隣にやってきた。夏になると、この辺り一帯は半裸の人が一気に増える。隣のおじさんが着ているデロンデロンのタンクトップは、少しでもずれたら乳首が見えそう。日焼けが似合うロン毛のおじさんだった。(もちろん、足元はビーサン)

 

おじさんは、片手にコーヒーを持っていた。

 

電車が到着したので乗り込むと、やはり車内でも隣同士に。鵠沼海岸駅から藤沢駅までは、約4分。今まで座れなかったことは一度もない。なんて快適な通勤ライフ。私はいつも通り、4分間の読書を始めた。

 

鵠沼海岸駅を出て2分後、本鵠沼駅に着く。

 

乗ってくる人も、降りる人も少ない。ドアが閉まり、出発。

急に電車が動き出したので(電車ってそういうもの)、おじさんは手を滑らせ、コーヒーカップを落としてしまった。

 

読書中の私は、コーヒーが足元に流れてきていることに気づかない。その瞬間もコーヒーは、私のロングスカートに向かって一直線だ。スカートを守らなければ!と思ったおじさんは、「危なぁぁぁぁぁぁい!」と叫ぶと同時に私の両足首を掴み、床と平行に持ち上げた。

 

 

めちゃくちゃ怖かった。

 

 

 

知らないロン毛のおじさんに足首を掴まれ、自然に曲げていた足は今、まっすぐに伸びきっている。向かいに座る親子がこちらを見て、子どもは口をあんぐり開けている。私も全く同じ顔をしていたと思う。状況がつかめなかった。

 

おじさんは、いつ私の足を離してくれるんだろう……

 

 

2分後、藤沢駅に到着。やっと私の足を離してくれた。

「申し訳ありませぇぇぇぇぇん」と深々と頭を下げたお辞儀の角度は、ちょうどおじさんが持ち上げた私の脚と同じ角度。床と平行、90度だった。

 

スカートは無事だったし、コーヒーをこぼしたことも怒ってない。

ただ、乳首が見えそうなタンクトップを着たおじさんの隣には、もう絶対に座らないと心に決めた。